TCV-23 アークコンバインオプティマスプライム

トランスフォーマー


今回は久しぶりにトランスフォーマーのレビュー。アーススパークを目前に控えた現状のトランスフォーマーシリーズの準新作であるサイバーバースから、アークコンバインオプティマスプライムをご紹介したいと思います。

この商品はその名前からもわかる通りサイバーバース版のオプティマスプライムがなんとあの「宇宙船アーク」と合体(combine)してしまうという史上最も規格外なスケールでの変形玩具。

設定のスケールだけでなく実際に玩具としてのサイズも中々大きく迫力のある合体遊びが楽しめるというものになっております。

発売自体は2019年末の物だったかと思うのですが、サイバーバースは低年齢層に向けた商品展開であったことやマニア層向けの展開も同時期に活発に行われていたという事もあり、諸々の理由もあって自分はこの商品を当時はスルーしてしまいました。しかしながらこの度3年越しに格安で出会うことが出来たためこちらでもご紹介。

可動が当たり前になったトランスフォーマーに於いてすっかり懐かしい仕様となった棒立ち式のアイテムと言う形になりますが、やはり「合体」の持つ魅力はロボット玩具を何重にも輝かせます。

そんな感じでポーズが取れないと言いつつ写真点数が結構多くなってしまっておりますが、まずはビークルモードからどうぞ。

ビークルモード

四角くて長~ぃ。

サイバーバースのオプティマスはいわゆるG1コンボイの様なスタイルになっていおり、細部は異なるものの大まかなデザインは共通項が多いです。実写版でもオプティマスのデザインが回帰していたり、今現在では「これぞコンボイ」といった見た目の司令官はかなり充実しており、ハズブロの方針をそれとなく感じ取ることが出来ます。

「トランスフォーマーアーススパーク」という今年の秋から始まるらしい新シリーズでもオプティマスはコンボイスタイルを踏襲したものになっており、作品ごとにデザインを大きく変えないアメコミヒーロー形式により傾倒したという感じがしますね。

個人的には、G1コンボイをオマージュすること自体は嬉しいのですが流石に食傷気味というのが正直な感想だったりします。別の記事でも似たようなことを書きましたが、「再現路線が充実してきたおかげで過去のアレンジ路線に一周回って新鮮さを感じるようになる」という現象が正にコンボイ/オプティマスでは起きており、どの媒体でも構わないのでG1コンボイに囚われない新たな司令官が見てみたいと思ってしまいます。

話が少し脱線いたしましたが、G1コンボイライクなカチッとした箱型のビークルでかっこよく作られています。

サイズが大きいため細部のディテールもしっかりと深めに彫られているのでぼやけた印象が全くないというのが良いですね。

サイバーバースは低年齢層向けの玩具となっているので変形はかなりシンプル。ビークル後部はTF史上でもダントツに下半身をそのまま放り出したスタイルとなっており変形には殆ど関与いたしません。

見た目の変化の少なさをカバーする為か、かかとパーツを畳んだところにつま先と同様のバックライトの造形があり、変形こそしていないのですが見る角度を変える事でパーツの役割を変えているのが感心する部分です。

とはいえ若干涙ぐましい・・・。屋根裏の梁のように肉抜きに張り巡らされた仕切り部分からもわかる通り、サイバーバースの玩具はとにかく総じて簡易的な造りになっているのが特徴。もちろん例外はあってこの商品付属のアークもその例外と言えるのですが、オプティマスの方は良くも悪くもサイバーバースらしさがかなり強い感じに。

気を取り直してトランスフォーム。

ロボットモード

プロテクターを付けたアメフト選手の様な体型。

パッと見サイバーバースのオプティマスとしてはなかなか再現度が高い一品です。

サイバーバースの玩具全体に言える事なのですが、ギミックや変形の皺寄せとは別に、そもそも参照しているデザインが違っている場合がそれなりの頻度であります。オプティマスはその最たる例というか、ビークルでもロボットでもデザインの再現度がかなりまちまちな印象。

今回のアークコンバイン版はある程度他の商品を経てからの発売だったからか、大きな相違点はそれほどないです。

ただし、サイバーバースのオプティマスは4本指であるのが正しいデザインなので、前述した通りギミックや変形とは無関係に5本指になっているのがサイバーバースの玩具らしい部分。

斜めから見ると各部の肉抜きが流石に目立ちます。

身体全体との比率でいえば肉抜き箇所が多いというわけではないのですが、やはりサイズが大きい分肉眼で見た印象や手に取った感覚として空洞感が目立ってしまいます。

また、他のトランスフォーマー製品ではお馴染みといえるこれらの肉抜き部分にディテールを施して見映えの悪さをカバーするといった処置もされていないため、正直な所サイズも相まって大味な印象がぬぐえません。

中でも手の指一本一本が肉抜きされているのは流石に自分もうう~んとなってしまいます。

背面に関しては最早仕方がないです。森羅万象の変形玩具に於いてどうしようもない所。

ちなみに御覧の通り膝に関節はありません。下半身の可動は脚を左右前後にひらくのと足首の横可動が備わっているので、膝さえ曲がればポージングには不自由しなかったためとてつもなく惜しい部分です。

合体後はトップヘビーになるため倒壊を防ぐための処置だとは思うのですが、実際にはそこまでアンバランスにならない事を省みるとなんとか膝可動は欲しかった所です。

上半身は平均的な可動範囲を備えている為、膝可動の有無の一点でこの玩具の評価も良作から傑作へと大きく変わったのではないかと思ってしまいます。

頭部も首可動はないので残念と言えば残念ですが、ここに関しては完全に合体ギミックの影響があるため仕方がない部分。造形自体はアニメそのもののイメージで素晴らしいです。

アニメの吹き替え声優である子安さんのお声もばっちり脳内再生されます。

アークコンバイン版のオプティマス最大の特徴がやはりこのサイズ。

平均的なサイズであるデラックスクラス版(日本ではアクションマスターという名称)と比較するとこの通りです。

デカ玩具が好きな方にはたまらない部分であるのですが、やはり前述の通り肉抜きによる軽さがサイズ感を中和させているきらいがあるのが勿体なさを感じます。部分塗装による色分けの少なさも印象を間延びさせてサイズの良さを殺してしまっている要因な気がします。

変形の都合で胴体に回転可動があります。首が回らない分をここで多少ですがカバー可能。

膝が回らない以外は実のところそこそこ可動するので、本当に膝さえ動けばと思ってしまいます。

オプティマス単体ではネガティブな感想もいくつか並べてしまいましたが、あくまでこの商品の真骨頂は次に紹介するアークとの合体にあります。

ディテール感であったり肉抜きの処理であったり、オプティマスとは180度印象が異なる物になっているのが見所ですね。

宇宙船アーク

この商品最大の目玉である宇宙船アーク。

立ち位置的にそもそもの商品化自体が珍しく、映像作品に登場する機会の多さに反してレアな存在ですね。つい最近ではタイタンクラスでアークがトランスフォーマーとして登場したりしましたが、それ以前で初代アニメのデザインを踏襲したアークは殆どありませんでした。

そんな中でのアークコンバインオプティマスの発売は中々に目を引くものでありました。

本体であるオプティマスとは打って変わって程よくハイディテールに。細かいエアーダクトやカタパルトの様なディテールが散見され、簡易的ながら密度を感じられるデザインですね。

裏面など見えにくい箇所にもディテールがしっかり施されています。

合体ギミックの都合なのですが、前側にある艦橋の部分はガバッと展開する事が可能です。

合体後の上半身に相当する箇所で特に宇宙船の内部構造が覗けるというわけではないのですが・・・。

これがまた結構細かなディテールが施されていて見ごたえがある造りになっています。

個人的には所々「トラス構造」のような意匠が見受けられ、「宇宙船内を明確に再現したわけではないがやんわりと内部構造を感じられるメカディテール」として機能しているように感じられます。

このアークと共に並べて遊べる何かがあるわけではありませんが、手に持って眺めていると船内を移動する乗組員をイメージしてしまうような、ついつい想像力を掻き立てられる、子供のころにやっていたイメージ遊びを自然としてしまうような、そんな面白い造形になっていると思いますね。

何気に今回の商品で一番好きな部分かもしれません。地味部門No.1的な。

自分の思うトランスフォーマーらしい処理というのはやはりこういった「肉抜きをただの空洞で済ませないきめ細かな配慮」を感じる部分にあるんですよね。

同じセット商品ながらオプティマスとアークで異なる印象なのが珍しいです。

本体のオプティマスより全体的に精密感があり、宇宙船アークとしては眺める以上の遊びはないものの満足度が相当あります。

意味のありげなディテールを発見するたびに意味や機能を想像してしまい、その時間がとにかく楽しい、という日本のメカ・ロボット玩具に古くからある楽しみ方が詰め込まれています。

基本的に最近のトランスフォーマーは恐らくハズブロ側が主導していると思われるのですが、この商品の様に玩具独自の要素を持ったアイテムはタカラトミー側の開発者の趣向を反映させやすいという背景があったりするのかもしれません。

オプティマスの大味さに反してアークだけやけに日本的というかいつも通りなんですよね・・・。

アークはビークルモードのオプティマスに牽引させることが可能です。

アニメ設定だけで考えると「どんな状況だよ」となってしまう事請け合いなのですが、こういった玩具だからこそ起こりうるシチュエーションというのも面白い物だと思います。

たまには良かろう。

アークが縮んでいるのかオプティマスが巨大化しているのか、その辺を独自の設定にあてはめながら遊ぶのも一興ですね。

Let`s!!コンバイン!!!!

来い!宇宙船アーク!!

ゴォオオン・・・・

コンバインモード!!

アーマーアップ・・・・!!

(撮影用にそっとやりすぎてあんまガシーン感無いですが。)

ガシィイイイイン・・・・!!!!

ギュイイイン・・・・・!!

アークコンバインオプティマスプライム

アークコンバインッ・・・・!

オプティマス!!プライムッ!!!!

・・・めちゃくちゃカッコいい。

それぞれ別個の状態では隠れていた意匠が表に出てきているのが合体をより効果的なものにしていますね。

両肩アーマーはその最たる例で、アークの状態では完全に内部に収納され見えなくなっていました。

それが合体時には黒い塗装でぶ厚い装甲の様なイメージを感じるデザインとして表に出てきているのが非常にいいです。合体前にはなかった意匠が後で判明するのは驚きを感じるというか、合体姿をお披露目する前フリの様な演出意図を感じてとてもワクワクする仕掛けですね。

ただただ好きです。

顔もとってもカッコいい。

文字部分を描いているタイミングで気付いたことですが、騎士甲冑の様な意匠が「トランスフォーマーアドベンチャー」で発売された「オプティマスプライム重力アーマー」のマスクと若干似ている気がします。

胸部デザインも非常にかっこいい。

コアのような部分が数種類の模様で囲われて強調されていたり、そこに向かって伸びる3対のパイプかシリンダーのような部品たちが宇宙船と合体しているオーバーパワー具合を表現しているような感じです。

出力がものすごそう。

可動範囲はオプティマスの項でお伝えした通りなのですが、地味に良い点が合体しても殆ど可動が狭まらない点。

元々動くおもちゃではないですが合体でさらに動かなくなるという事がないのは地味に考えらている点かもしれないですね。

動画にするか迷ったのですが、肩上のキャノン砲にはレバーアクションギミックが備わっており、背中側のレバーを操作する事で砲身を前後に動かして遊ぶことが出来ます。

ガシャガシャ楽しい感じの物を想像していたのですが、実際に動かした感じではむしろ「ワキワキ動く」と言う感じで個人的にはあまり刺さるギミックではありませんでした・・・wそんな感じで文字情報のみの提供という事で。

上半身はほぼアークの部品に覆われるので斜め上から見るとディテールが良く目立ちカッコいいです。

武器が肩キャノンとアームブレードという固定武装オンリーなのがいかにも戦闘用の形態と言うパワフルな印象で良い感じですね。

今回の記事では写真にしませんでしたがブレードは腕横だけでなく拳に持たせることも可能なのでポーズによって使い分けが可能です。

本当に膝が動かないだけなので画角と雰囲気でそれっぽく見せられは出来ます。

いやあでも膝可動は欲しかったですね・・・

共感を得られるかわからないんですけど、こういう「質量を無視したルールの外の最終形態」みたいな感じが「最近の星のカービィのラスボス戦」をちょっと連想するんですよね・・・。「カービィがどでかいラスボスに挑むために戦艦やモンスタートラックと合体する」のと「オプティマスが自身が乗っていた巨大宇宙船と合体する」のは作品こそ違えどノリは同じ感じがすると言いますか・・・。

待っていろメガトロン!オートボット!出動だ!!と聞こえてきそうな感じで。

アークのメインエンジンが脚部に大胆に付いているので、是非とも地表から豪快に爆風を巻き上げながら大気圏を突き破ってもらいたいですね。


以上アークコンバインオプティマスプライムでした。

今回は結構厳しめな意見も書いたのですが、やっぱり商品の肝である合体はちゃんと良いものになっているので「加点方式のトータルで見れば」良作トイだとしっかり思える感じです。

アークの項でお伝えしたディテール感が合体によってロボット形態の方にもたらされるので単純に魅力の足し算になっているのが非常に良い感じ。また、基本的に合体時のデザインは宇宙船アークの状態では隠れていた部分で構成されているので、アークとオプティマスの両方から大きく印象を変えている点も合体ロボとして優等生な部分であると思います。

そして極めつけは途中の動画ファイルで見て頂いたように、背中に付けたアークを前面に覆いかぶせる過程でスムーズにメットオンが出来たり、砲身や胸部のエンブレムが連動アクションをしてくれるのが合体の行程を遊びとして彩ってくれています。

「ただ姿を変えるために組み立てるだけの合体」ではなく「遊びとしての楽しさを持った合体」がここにあると感じられますね。

惜しむらくはやはり本体のオプティマスがあまりにも大味である事・・・。従来のトランスフォーマーのように可動を持たせるか、はたまた戦隊ロボのようになるべく肉抜きを目立たないようにしてギミックと手触りの良さで満足感を与えに行くか、やりようはあったと思います。

というのもこの商品は税込みで7480円という値段設定になっており、いくら良い物だと言われても気軽には手を出しづらい価格帯であるのが正直な印象だと思います。

合体後の見た目が気に入った、じゃあギミックはどうか、可動はどうか、合体前の見映えはどうか、と価格を見た後にお財布と相談する過程で「買わなくてもいい理由」が結構出てきてしまうのが本商品、ひいてはサイバーバース全体に当てはまるというのが自分の率直な感想です。加えてサイバーバース展開当時は同じトランスフォーマーでもSIEGEやスタジオシリーズが盛んに発売されていた時期でありますので、当時の自分はお財布との協議の結果サイバーバースの多くはスルーしてしまったのですよね・・・。

そんな経緯で数年ぶりに手に取ったサイバーバースの中でもギミック重視の商品になりますが、少なくともこのアークコンバインオプティマスをはじめとしたスパークアーマーシリーズに分類されるアイテム群は中々万人におすすめしやすい物なんじゃないかとは思います。もちろん個々人の金銭感覚で大いにハードルが変わってくるので、レビュー記事にあるまじき、よくよく吟味はしていただきたいと予防線を張ってしまう締めくくりにはなりますが・・・。

それではまた次の機会に。

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